サース通信年4回発行のサース通信から毎号の特集記事のみを抜粋しています。
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特集・新しい住まい方 〜ハウスシェアリングってどうですか?その1〜 12:00
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     近頃、戸建や住宅やマンションを2、3人の共同で借りる「ハウスシェアリング」をしている、という20歳代の人の話を聞くことが多くなりました。
     最近では、新築物件をシェアリング用につくっていたり、一緒に住むパートナーを紹介する不動産屋さんもいる、と聞きます。
     家族以外の人と住むシェアリングや、高齢者や障害を持つ人たちが、共同で生活するグループホームなど、新しい住まいの形がここ数年でふえてきています。
     そこには、周囲の人とのかかわり方、住まいや、生活するまちとのかかわりに変化がでてきているのでは。
     そんなことを考えながら、実際にシェアリングしている方のところに出かけ、住まい方や同居人などについて聞きました。

     井の頭線池の上駅から歩いて3分。
     商店街の裏路地の、何の変哲もない一軒家。入口には板塀に柿の木。玄関を開けると、土間から階段まで靴で埋まっています。
     「どうぞ〜」の声で、奥の台所兼食堂に入っていくと、住人のMさんが迎えてくれました。
     その壁は、群青色のペンキで鮮やかに塗られ、壁際には冷蔵庫が2台、その上にオーブントースターが2台、トースターが1台、更に炊飯器。半楕円型のダイニングテーブルの上には、テレビとビデオ。
     電化製品の他に、皿や鍋などの調理器具も共同で使っています。でも、それぞれの大事な食器や、個人で大切に使う調味料、お酒を入れる場所は、左手の棚に各自のスペースがつくられていました。
     住人2にんのうち、インタビューに答えてくれたMさんとHさん。食堂のテーブルで(画像)

    ■シェアリングで電話代の出費が激減!
     住み手の3人は、20歳代女性3人。
     「北沢の家」の平日の朝、トップバッターは新宿に勤めるHさん。1階のシャワーを使い、朝食はとらずに出勤。
     続いて、横浜に通勤のYさんが、トーストの軽い朝食をとって出かけます。
     そのうちに、1階を事務所に利用しているKさんが出勤してきます。
     そこへ、カメラマンのMさんが起きてくるのがたいていのパターンです。
     出勤時間がばらばらなので、共同利用の洗面所、シャワー、トイレ、台所を時間差で利用することになるので、かち合うことはほとんどありません。
     Mさんが出てしまうと、日中は事務所のKさんが一人になります。夕方、仕事を終えたKさんが帰った後は、住み手の3人が三々五々に帰ってきます。
     平日の夕食は、外食だったり、お弁当を買ってくることが多いので、夕食をつくることはあまりないのですが、3にんがそろう午後11時ごろから12時すぎは、食堂の半楕円テーブルになんとなく集まって、おしゃべりをする時間になっています。
     この時には、誰からかお酒が配られることが多いようです。

    (S:SAHS M:Mさん H:Hさん)
    S:ここに住みはじめて変わったことは?
    M:一人暮らしの時より、夜の電話が少なくなった。ここで、みんなに話すからだと思う。たいしたことじゃないけど、人に話したいことってあるじゃないですか。人がいると、そういうことが話せるのがいいよね。
    H:そうそう、携帯(電話)料金も助かってる。ずいぶん違うよね。実家に電話かける回数もかなり減った。

    <住まいの概要>
    場所   :世田谷区北沢1丁目
    構造階数:木造2階建(築20年くらい)
    間取り  :1階 6帖/K設計事務所
             ダイニングキッチン、洗面所、
             浴室、トイレ、玄関
           2階 6帖/Mさん個室
               6帖/Yさん個室
               4.5帖/Hさん個室
    契約概要:3年ごとに更新(最長9年)の条件でKさんが借りている。
          建物は契約終了後建て替える計画がある。
    家賃  :全体 19万円/月
           (2階 6帖  4.5万円/月
           4.5帖   3万円/月)
    光熱費等:全体額を事務所部分と住居部分にKさんが分割し、住居部分は3等分している。
         電気、ガス、水道合わせて住居者ひとり当たり3〜5千円/月
         *退去する時は次の入居者をつれてくるのが条件。

     北沢の家には門限やゴミ出し、掃除当番などの決まりごとは基本的にありません。
     共同で使っているシャンプーやトイレットペーパーの補充は気付いた人が買って、食堂のテーブルに請求メモを置いて、それぞれが払います。
     お風呂を湧かすのは湯舟につかるのが好きなMさんがやることがほとんど。
     掃除や片付けも、気付いた時にできる人やがやることになっていますが、たいていは散らかす人と片付ける人の役割が決まっているようです。

    S:ここで暮らすルールってないの?
    M:ルール!?えっ、何それ?みんななんとなくやってるから決まりごとはな〜い。
    H:3人のなかで役割ができているんです。おおざっぱな長女(Yさん)。きれい好きな次女(Hさん)。いろいろと心配をかける末っ子(Mさん)。
    M:そうそう。
    H:日常的にはお互い様って感じで、人の片付けもやったり、置いてあるものを使わせてもらったりしてる。そういう貸し借りで気になることはないけど、たま〜に、まったく片付けなくてとか、勝手にひとのものを使って、と思った時は、本人に言ったこともあるかな?
    M:でも、本当に姉妹って感じだよね。
    H:うん、うん

    ■北沢の家のいいところ

     いいところは、家に帰った時に灯がついているのでほっとするというのが一番のようです。
     また、ここでは普通のシェアリングと違う点で、Kさんが1階に仕事場を持っているのがかなり利点といえます。例えば、女性だけの住まいではない(Kさんは男性)こと、日中家に人がいるのも安心です。
     大家さんから直接借りていないので、家賃や光熱費払いの遅れをKさんが代行してくれることもよくあるようです。3人だけだったらかわりに払える人がいないかもしれない状況なので。
     加えて、Kさんの持ち物の調理器具やテレビなどの電化製品があったので、気軽に引っ越せたことも利点でした。
     共通の友達を呼んで、料理をいろいろつくってパーティーをやる時に、Kさんの事務所部分を宴会場に使わせてもらえるのもメリットです。

    ■北沢の家で気をつけていること

     個室の音はほとんど筒抜けだから、人を呼ぶのはちょっと気をつけています。平日勤務のHさんは、友達を呼ぶのは、みんながいない土日にすることが多いと言います。
     姉妹のような暮らしは、ある意味プライバシーがない状態ともいえるようです。
     それでも、音の問題では、みんなの趣味はある程度あっているようです。隣の部屋の音楽が聞こえてきた時は、自分がかけている音を消して、その曲を聴く事があったり、「今のなんて曲?」と聞いたりすることもあるそうです。
     ちょっと嫌なのは、お休みの日の午前中に宅配便で起こされること。たいてい、1階のKさんのものだそうです。

    S:将来結婚したり、パートナーと暮らす時にこういう暮らし方ってありえる?
    M:それはない、ない。だってプライバシーなさすぎ。
    H:でも、お隣同士で庭がつながっているとかはいいな。

    <インタビューを終えて>
     3人プラス昼間の住人の共同生活はなかなか楽しそうに見えました。
     来春に1階のKさんが出て、全体を3人で借りる可能性もあると聞きました。今はダイニングキッチンを団欒に利用していますが、その時には共有部分が増えてコレクティブハウスに近付くのでは、と興味があります。(担当:I)

     今、一般的にハウスシェアリングをしている人は、利便性の良い所を安く借りることができることが第一条件で、若い世代が多いと言えるでしょう。そんな中、今回のインタビューで「夜のおしゃべりタイム」のように同居人を必要としている生活がみえてきました。
     今後、若い人に限らず、熟年、高齢期の人にもシェアリングが増え、賃貸物件の形式も変わってくるのでは・・・と、期待しています。(担当:N)
    | サース通信05号/2002年12月 | - | - | posted by news-npo-sahs -
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