サース通信年4回発行のサース通信から毎号の特集記事のみを抜粋しています。
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特集・新築工事現場から出るごみ 12:00
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     前回の解体工事に引き続き、SAHS会員の方にご協力いただき、新築の工事現場から出る廃棄物調査を行いました。
     ところで、木造住宅の工事現場というと、どんな風景を想像しますか?
     長い木材をカンナくずを出しながら削る大工さんの姿でしょうか。それとも・・・。最近の木造住宅の中には、朝は更地だったところに夕方には家の形ができてしまう、工場生産による規格住宅もあります。
     工事現場から出るごみの種類や量は、その造り方によってずいぶん違うでしょう。
     調査させていただいたAさん宅は、内部仕上に無垢の木を多く使い、材木や内部枠材などは、棟梁が作業場で刻み、持ってきては取り付けるという、どちらかというと昔ながらの木造住宅の造り方です。施工は比較的小規模な工務店さんに頼みました。
     さて、どのくらいの量のごみが出たのでしょうか。

    ■Aさん宅新築工事現場から出たごみとその処分方法を聞きました

    [A邸の工事概要]
    用  途 :専用住宅+賃貸1戸
    延床面積 :約158
    構造階数 :木造軸組工法2階建て
    場  所 :東京都世田谷区
    工事期間 :2001年12月〜2002年5月

    外部仕上
     外壁  :リシン吹付け
     屋根  :ガルバリウム鋼板葺
     開口部 :アルミサッシ、一部木製
    内部仕上
     天井  :主にペンキ塗
     壁   :クロス貼
     床   :無垢木製フローリング

    この現場での廃棄物の処分方法 :大工工事と塗装工事分は工務店が処分。
                    その他の各職種工事分は各々で処分(持ち帰り)

    ■水道工事
     給排水管取り付け時に出た
     ・塩化ビニール管の端材…少量 → 自宅で事業所ごみとして処分
     便器などを梱包していた
     ・段ボール…2袋        → 自宅でリサイクル回収として処分
    ■電気工事
     現場配線時に出た
     ・電線の端材     …まとめて1袋 → 周辺の職人と共同産業廃棄物業者へ処分依頼
     ・切り取った石膏ボード
     ・ビニル袋
     ・発砲スチロール
    ■タイル工事
     現場施工時にでた
     ・タイルの端材…微量 →まとめて産業廃棄物業者へ処分依頼
     ・モルタル…微量
    ■サッシ工事
     現場搬入時に使用した
     ・段ボール…5袋   →まとめて産業廃棄物業者へ処分依頼
     ・ビニルひも…少量  →現場処分
    ■内部建具工事
     作業場で作製時に出た
     ・木くず…2袋 →まとめて産業廃棄物業者へ処分依頼
    ■家具工事
     作業場で作製時に出た
     ・木くず…2袋 →まとめて産業廃棄物業者へ処分依頼
     現場搬入時に使用した
     ・段ボール…3袋 →回収業者に無料引取依頼
    ■クロス貼工事
     ヒアリングしましたが回答がありませんでした
    ■基礎工事
     基礎部分を掘削して出た土 → 数量未調査
    ■木工事
     間柱、枠などを現場加工して出た
     ・木くず…30袋    →工務店で焼却
     ・垂木などの切り端材 →今回は花壇用に施主が保管
    ■塗装工事
     外壁吹付け時に使用した
     ・養生ビニル材…2袋
     ・使用済みのペンキ缶…7缶
    ■その他のごみ
     大工作業時に出た木材以外の廃棄物
     ・石膏ボード …まとめて2tトラック1.5台分 → 工務店が産業廃棄物処理業者に処分依頼
     ・断熱材                            (産業廃棄物管理表より)
     ・ガラス
     ・鋼板(屋根材)
     基礎工事時に出た
     ・コンクリートの端材

    ■棟梁に聞きました・現場のゴミのあれこれ (S=SAHS・T=棟梁)

    S:現場のごみは誰が捨てるんですか?
    T:ここのように戸建て住宅の場合は、大工が出すごみは工務店が処分して、その他のごみは下職(※1)が各々で持ち帰っているよ。
     でも小さなごみは現場のゴミ袋に置いていかれちゃうこともあるな。
    (※1:電気屋、水道屋、クロス屋、タイル屋など、工務店から材料の支給と工事を請け負う専門職の職人)

    S:大工さんのごみはどうやって捨ててるんですか?
    T:工務店が廃棄物用の袋(※2)を持ってくるからそれに分別して入れてるよ。その袋が貯まったら工務店が持って帰るか、廃棄物処理業者が取りにくる。
    (※2:麻袋と同じ大きさのしっかりしたビニル製)

    S:分別とはどんな区分けなんですか?
    T:特に指示されたわけじゃないけど、木くず、石膏ボード、紙、発砲スチロールの断熱材、部材を梱包しているビニル類、金属・・・6種類くらいに分けてる。でも、廃棄物処理業者は全部の袋を一緒に荷台に載せていくから、せっかく分けても結局一緒になっちゃうのかなあ、と思うこともあるよ。

    S:昔はどう処分していましたか?
    T:工務店の大きな焼却炉で、段ボール、木くずを燃やしていたな。ビニルが混ざっていたこともあったんじゃないかな。今は一切燃やせない(ミニ知識参照)。前は焼却炉を買うのに行政から助成金が出ていたくらいだったのに。

    S:他に分別で気をつけていることはありますか?
    T:廃棄物業者は、「石膏ボードは他のものと混ぜないこと、濡らさないこと」(ミニ知識参照)って言っている。もう何年か前からだね。外に置くときは、濡れないように気をつけてるよ。

    S:現場での廃棄物の捨て方は、どんなふうに変わってきましたか?
    T:今の袋を使うようになったのは15年くらい前からかな。それまでは、木でできた大きな箱が置かれていて、弁当の空き箱からガラスまでなんでも入れていたよ。箱がいっぱいになると廃棄物処理業者が来て、爪のついた重機でごみをガバッとつかんで、トラックの荷台に直接載せて持っていったな。

    S:現場によってゴミの種類に違いがありますか?
    T:この現場は木工事が多いから、木くずが多いけど、階段や間仕切りや枠、棚にシステム品(※3)を使う場合は木くずが少なくて、梱包の段ボールなどがもっと多く出るよ。
    (※3:工場生産された部材で、現場では組み立てのみを行うもの)

    S:お弁当のゴミなどはどうしているんですか?
    T:自分らも下職もみんな各々で持って帰っているよ。前は現場のごみ入れに捨ててたけど、2、3年前くらいから、各々が自主的に持って帰るようになったかな。休憩の時の缶ジュースなんかはここ(建設現場)のリサイクル回収日に収集所にだしてるよ。

    ■気になることがまたひとつ〜調査を通して〜

     生活クラブの建設廃棄物問題研究会は、大量のごみになりうる「住居」が気になり、まずは建築現場からでるごみを知ろう、ということで始まりました。そして、今回の調査を進める中で、また「気になること」が見つかりました。
     それは、「建材の製造過程でもさまざまな廃棄物が出ている」ということです。作業場や製造工場など、現場以外から出る廃棄物はどうなっているのだろう・・・このような新たな「気になること」も含め、調査のまとめをして、報告会を開く予定です。

     SAHS通信では、前号に続き、特集として建設廃棄物調査を取り上げました。この調査は一旦終了しますが、「気になること」については、SAHSとしても、機会をつくり調査していきたいと考えています。
     まずは気になる「中間処理場」の見学をしたいと考えています。

    ■建設廃棄物調査をさせていただいたSAHS会員の方に寄稿していただきました。

     家の建て替えの時にでるごみの量をはかるというアイデアにはびっくりしたが、自分の家が丁寧にこわされていくのはほっとするし、終わってみると建て主の負担は全くなかった。
     ただ、時間とお金があればの話だが、廃棄物を載せたトラックのあとについていって、どのように捨てられるのかを確かめたかった。そうすれば建てる時の心構えがはっきりする。
     途中、廃材が羽根木公園での子供まつりで使ってもらえたのは思いがけないことでうれしかった。

     新築時に出たごみのことも本号でわかるので楽しみです。花壇の仕切りにするために建築中に出た木の切れ端をたくさんとってあり、それをどう使おうかと思案中です。あの捨てられてしまった木もとっておいて庭先のデッキにすればよかったかしら、と思っています。
    (荒川 智子)

    ●ごみのミニ知識●

    ■現場のごみは工務店が処理を
     産業廃棄物処理法第3条(注)では、現場から出るごみは全て排出事業者である工務店が処理することになっています。例えば、弁当がらや空き缶も、事業の中で出るごみなので、産業廃棄物にあたります。
     しかし、Aさん宅の工事現場では、ほとんどの下職は、持ってきた材料の残りや弁当がらを自主処分していました。
     このような小規模戸建て住宅の場合、材料と工事を一括で請け負った職人は、ごみも持ち帰ることが多いのが実状のようです。
     今年5月から施行された建設リサイクル法を契機に、工務店の廃棄物に対する意識も変わりつつあるようで、こうした慣例も今後は変化していくのではないでしょうか。
    (注:事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適性に処理されなければならない)

    ■石膏ボードの処分方法
     平成9年の産業廃棄物処理法改正で、石膏ボードは、安定型産業廃棄物(注)から管理型産業廃棄物に移行しました。ただし、下地の紙と石膏を分けると、リサイクルや安定型処分ができます。
    (注:地中に埋め立てても地下水を汚染しない廃棄物)

    ■焼却禁止について
     平成13年4月から施行された、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」第126条で、廃棄物の焼却行為が制限されています。
     これまで規制がなかった、火床0.5嵬にの焼却炉の使用ができません。それ以上については、以前からある作業所指定などの申請が必要になっています。

    ■建設リサイクル法における新築工事の扱い
     循環型社会の推進を目指し、リサイクル法が制定され、建設業もこれまでの廃棄物処理法に加え、建設リサイクル法が適用されることになりました。
     解体時の処分の他に、新築工事では、500岼幣(東京都の場合)の場合、事前届け、および報告が義務付けられています。
    | サース通信04号/2002年9月 | - | - | posted by news-npo-sahs -
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