サース通信年4回発行のサース通信から毎号の特集記事のみを抜粋しています。
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特集・住まいがごみに変わる時 12:00
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    ■ごみ調査第1段 解体工事の巻!
     昨年秋、生活クラブ生協の声かけで、建設廃棄物の問題研究会の支援をはじめました。
     廃棄物の問題は、最終処分場の残り量があと数年まで迫っていることや廃棄物の焼却によるダイオキシン排出問題、不法投棄などさまざまな点で放置できない状況まできています。平成12年には廃棄物処理法の改正と建設リサイクル法の制定がされ、主として解体工事については発注者の事前届け出と請負業者の事後報告が、住宅規模でも義務付けられることになりました。
     今回の調査は、ごみの量を実際に見るために、SAHS 会員の Aさんにご協力いただき、住まいの建て替えにあわせ、解体から新築工事の間のごみを調べています。通信2号で概要をお知らせしましたが、今回は、解体の様子、ごみの量と行き先の結果を紹介します。
     住まいは、いつ、何が、廃棄物になるのかを調べながら、建設廃棄物を減らすことにどのようにかかわれるのかを考えてみました。

    1、Aさん宅の解体物はトラック16.5台分!

     今回の解体工事で、Aさん宅の解体物は4tトラック16.5台分になりました。
     そのうち4分の1は再資源として活用されました。残り12台分の廃棄物のうち4台分が現場で分別され、8台が混合廃棄物として運び出されました。

    建物概要:2階建専用住宅(昭和37年頃建築)
         1階は補強コンクリートブロック造
         2階は木造
    場  所:世田谷区赤堤
    敷地面積:約192・   
    延床面積:約110・
    解体費用:150万円+樹木伐採費用7万円
    解体方法:2階および1階木造部分は手壊し
         上記以外は機械壊し 
    工事期間:11日間(2001年10月25日〜11月8日)

    解体前のAさん宅(画像)

    Aさん宅の解体で出たごみの量と行き先(画像)

    2、解体工事に密着!

    ■工事6日目。トラック7台分の解体物が
     2階木造部分の手壊しが終わり、庭いっぱいに解体物が積まれています。建具、畳、木材、金属の屋根材・・・素材別にきれいに置かれた様子は「ごみ」には見えません。
     搬出の2日前でしたが、私たちは「何かに利用できないか」と考え、一部は A邸で新築後に花壇造りに利用することにしました。また、生活クラブもあちこちに連絡した結果、近くの羽根木プレイパークで、子どもたちが屋台をつくる材料や、たき火用に木を探していることがわかり、トラック2台分の木材が引き取られました。
     現場近くで利用先がみつかることは、運ぶ距離が短くてすむので、解体屋さんも「また引き取ってもらえるとありがたい」と言っていました。
    ■ブロックは機械壊し
     庭いっぱいのごみが運び出された後、解体用の機械が入り1階のブロック造の壁を1日で崩しました。その後は同じ機械で敷地全部を使ってブロックを叩いたり、潰したりして細かく砕き、中に入っている鉄筋をできるだけ抜きました。
     機械解体が始まってから出たごみは、トラック2台分はがれきとして分別され、あとはすべて分別されず混合廃棄物になりました。
    ■現場での分別の難しさ
     機械解体後は、ほとんど分別されませんでしたが、工事の様子を見た限りでは、機械を使うと素材が細かく割れてごちゃごちゃになるので、それを分別するのは人力になり、かなり時間がかかると思われます。また、住宅程度の敷地の中で機械と人が一緒に動くのは危険なので、その場で分別するのは難しいでしょう。
    ■処分物の管理記録表からわかること
     産業廃棄物は、処分結果を発注者に報告するため、トラック1台ごとに管理記録表(マニフェスト表)がつくられます。
     今回の A邸の場合は中間処理施設に運ばれた12台分の表がつくられました。そこには中間処理施設で破砕されたことと、最終処分がされたスタンプの記録がありますが、破砕されてどのくらいの量になったのか、処分先が安定型なのか管理型なのか、場所はどこなのかはわかりませんでした。

    2階木造部分の解体が終わり、解体物が庭に置かれている(画像)
    コンクリートブロックを細かく潰し、鉄筋を取り出している(画像)
    産業廃棄物管理票(画像)

    3、分別すれば安くなる 
          〜解体業者へのヒアリングから

     解体業者によると、中間処理施設に持ち込む廃棄物は、分別の度合いによって3種類の価格分けがされると言います。
     木材、コンクリートといった単独素材に分別されたものは A品、ある程度分別されたものは B品、まったく分別されていないものは建廃 (ケンパイ ) と呼ばれています。
     中間処理施設が廃棄物を引き取る金額は、B 品が A 品の 1.5 倍程度、建廃はさらに高くなりますが、分別具合でかなり値段が違うといいます。 B品と建廃は、中間処理施設で品目ごとに分別されているそうです。廃棄物を大きな水槽に入れ、重さを利用して素材ごとに分別する方法や、人海戦術で分別する方法などさまざまなようです。

    4、解体方法でこんなに違う処分

     木造建築を解体する時、手壊しは人手がかかるので費用が高くなると言われ、最近は機械で壊すことがほとんどです。しかし、下の表で比較すると、手壊しでは解体費はかかりますが、解体しながら分別をしていくので処分費がかなり安く済み、結果的には、分別した場合は全くしなかった場合の4分の1の処分費になっています。(ミンチ解体とは、機械で潰しながら壊す方法)
    ■解体、処理方法によるリサイクル率とコスト
                (木造建築物 30坪あたり)
    出典:解体・リサイクル制度研究会報告(平成10年)(画像)

    5、どんな処分をするのかまで知ろう
     建設リサイクル法では、廃棄物はできるだけ現場で分別することが原則になっていますが、住宅の場合、狭い敷地の中で全て分別するのは無理があります。その場合、中間処理施設で分別され、適正な減量をして最終処分されることを期待しますが、今回の調査では中間処理の方法まではわかりませんでした。
     しかし、ヒアリングや資料から、分別をすれば処分する量がかなり減り、費用も抑えられることがわかりました。解体工事を依頼する時は、処分の方法まで含めた検討をしていくとよいでしょう。

    ●ごみのミニ知識●
    解体ごみは産業廃棄物・・・解体ごみは、産業活動から出るごみとして、
      排出した人が自己責任で処分する「産業廃棄物」にあたります。
      建設リサイクル法等で示されているように、廃棄物はできるだけ再資源化する努力をし、
      処分する場合は最終処分場(主に埋立て地)に持っていく量をできるだけ減らすことが求められます。
    中間処理施設・・・処分場へ持ち込む量を減らすため、廃棄物を細かくしたり、焼却、圧縮する施設で、
      扱う素材や処理方法ごとに基準があり、設置する場合は所在地の行政に届け出が必要です。
    最終処分場・・・砕かれたもの、焼却灰、分別されなかったものなど、廃棄物が最後に運ばれる場所です。
      廃棄物の内容によって、有害な物質は遮断型という防水処理がされた処分場へ、
      分別がされていて害がないものは安定型、それ以外のものは一定程度の防水処理をした
      管理型処分場に持ち込まれます。

    ■木造住宅の平均的な解体時の廃棄物量
    4tトラック    約 19.3台
    (調査件数20件 平均延床面積 約110・)
    [内訳]
     がれき類     約 5.9台 
     木くず      約 4.4台 
     混合廃棄物    約 3.0台 
     瓦        約 1.7台 
     廃プラスチック類 約 0.8台
     石膏ボード    約 1.2台
     金属くず     約 1.2台
     建具、畳     約 1.1台
    (社)全国解体工事業団体連合会の調査結果より

    参考文献:
    木造建築物解体工事の現場
      (社)全国解体工事業団体連合会編集・発行
    建設副産物-建設廃棄物の処理とリサイクル-
                石井一郎編著他6名共著

    ■生活クラブのメンバーの方から今回の調査について寄稿していただきました。

      建設廃棄物調査をはじめて
       (生活クラブ生協23区南 吉田由美子)
     ダイオキシンの事が世の中で大きな問題になってからずっと、私達は「ごみ」に関心を持ってきました。ダイオキシン問題はごみ問題であり、身近なごみを減らしていくことが、結局はダイオキシンを減らしていくことになるとわかったからです。生活クラブの中で、出るごみの量を調査したり、その減量法を検討したりしてきましたが、あるときからとても身近で、大きなごみとなりうる「住居」に注目するようになりました。
     気になり出すと、まず調査して自分の目で確かめてみたくなるのが私達。
     しかし、こればかりは日々台所で出るごみのように、手軽に測ってみるというわけにはいきません。それを今回、各方面のご協力で実現でき、皆で少しづつではありますが、実際に建築の現場で「ごみ」の量を実感することができました。
     実感したからすぐに何かを提案できたり、解決できたりするものではありませんが、やはり「自分の目で見た」というのは貴重な経験でした。
     本当はもっと大勢でしっかり丁寧に調査に参加できたら面白かったのに・・・とちょっぴり残念に思っています。
    | サース通信03号/2002年6月 | - | - | posted by news-npo-sahs -
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